Qiワイヤレス充電と人体埋め込み型医療デバイス

携帯電話やワイヤレス充電器など、特に無線周波数電磁界を利用する新しい電子デバイスが市場に導入される中、医療用インプラントの使用者がこうした新しいデバイスを利用する際の安全性を検証することが重要です。

人体にとって安全な電磁界への暴露限度は明らかにされています。米国では、電子機器から発生する可能性がある電磁界の強度に連邦通信委員会(FCC)が制限を設けており、FCCは認証プログラムの順守を定めています。FCCマークが付いた製品は、人体を有害な電磁界にさらしません。FCCは、この問題を詳しく取り上げた webサイトとFAQ を作成しています。米国以外の国にも、同様の規制、認証基準、安全マークが定められています。

ペースメーカー、除細動器、深部脳刺激装置などの埋め込み型医療デバイスの使用者は、人体に対する電磁界の影響だけでなく、インプラントへの潜在的影響にも関心を持つことが予想されます。

この点において、International Journal of Environmental Research and Public Healthで発表された先ごろの調査で、Qiワイヤレス充電器と埋め込み型医療デバイス(CIED)の適合性が評価されました。この調査は、CIEDと一般的なワイヤレス充電技術の電磁界における電磁両立性を評価することを目的としています。そのため、A13タイプのQiワイヤレス充電器の電磁場からCIEDで誘導された電圧を測定して、ISO 14117で定められている限界と比較しました。これを行うために、ペースメーカーの単極リードまたは双極リードに接続できる測定回路を開発しました。生理的食塩水を充填した胴体ファントムを用いて、インプラントが最も多い4カ所の部位にこの測定システムを配置しました。

この調査によって、誘導電磁界は、Qi送電装置のコイルから2cmのところ(誘導電磁界の強度が最も高い位置)でも、ISO 14117で定められている限界値を大幅に下回っていることが分かりました。距離が離れるにつれて、誘導電磁界の強度は大幅に低下します。より現実的な10cmの距離でも、誘導電磁界は2cmの電磁界のわずか2%でした。

この種の調査として、今回が初の調査だったわけではありませんが、詳細な内容で、Qiワイヤレス充電がCIEDに干渉しないという過去の調査を裏付ける結果が得られました。

人体への安全性—周波数と電力の関係

安全マージンを決定する最も重要な設計要素は、システムの 動作周波数、システムが消費する電力、製品の磁気シールドの使用です。動作周波数が増加すると、結果として生じる電磁界が他の電子デバイスに干渉する可能性が高まります(PlanetAnalog.comの記事 「Design Considerations in Modern Wireless Power Transfer Systems: Frequency of Operation」などを参照)。また、電力の消費が増大すると、電磁界の強度が高まり、それに伴って他の電子デバイスに干渉する可能性が生じます。

         

※画像提供:Techno Buffalo

Qiワイヤレス充電が安全な理由

Qi対応製品は、低い動作周波数(100~200kHz)で作動するため、結果として安全な範囲で高電力の供給が可能です。標準的なQi送電装置(充電器)は、送電装置と受電装置のコイルの位置を近距離で合わせた構成で最大15Wを供給します。この構成では、電磁界の強度は距離に伴って急速に低下しますが、例えばWi-Fiの基地局と比べてもはるかに速く低下します。また、他の電子デバイスへの干渉の可能性を大幅に減少させます。

2010年以降、Qiのテクノロジーを搭載した製品は大量生産されており、現在では世界中で使用されている製品は数百種類、ユーザーは数億人に上ります。この市場の成熟によって、Qi規格を使用する製品の安全性を独自に確認できるデータが豊富に得られています。


Qiワイヤレス充電と人体埋め込み型医療デバイス

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